里山の役割
「里山(さとやま)」は、人の暮らす里と、手つかずの奥山のあいだに広がる場所。そこは昔から、薪や炭、畑や水路、そして人と動植物が交わる生活の舞台でした。
HFC(一般社団法人 葉山の森保全センター)は、葉山・三浦半島でこの“あいだ”をもう一度整え、人と森の距離を近づける活動を進めています。
※本稿はInstagram投稿を加筆修正しています。

里山とは
- 里:人が暮らし、農地や集落がある領域
- 奥山:人の手がほとんど入らない山地
- 里山:その中間帯。生活に近い森・雑木林・棚田・水路・竹林などを含むモザイク状の環境
里山は“緩衝地帯”とも言われ、人と自然の接点として、資源利用・防災・生物多様性の維持に寄与してきました。
里山保全とは
里山保全は、人の手で環境を整え直し、使いながら護る営みです。
具体的には――
- 木を伐って資源化(薪・炭・材・チップ 等)
- 耕作・草刈り・下刈りで景観と安全性を維持
- 水の通り道(沢・水路)を整えて土砂災害を抑止
- 竹林の拡大を抑える、侵入種の管理
- 森林空間を学び・体験・健康の場として生かす
「自然を壊す」のではなく、人の暮らしに合わせて“手入れする”ことで自然機能を引き出す。これが里山の本質です。
なぜ今、里山保全が必要か
かつてはインフラが整う前、里山は生活資源の供給地でした。エネルギーや資材が他所から来るようになると、手入れは途絶え、次の問題が顕在化しました。
- 倒木・土砂災害のリスク増(高齢木・大径木化、竹林の密生)
- 生物多様性の低下(単一化・遷移の加速)
- 人と森の距離の拡大(使わない=関わりが減る)
使いながら護る里山の循環を再起動することが、地域の安全・環境・文化を支える近道です。